背景のマチエール: 定家亜由子さん個展から
今年はなかなか暖かくならない「長い冬」ですが,先週末はようやく春らしい快晴でした。素晴らしい舞台のあと,美術にお詳しい同僚から紹介いただいた個展へ立ち寄り。その感想というか,作家さんとの談話で印象に残った一言を――
吉見俊哉『大学とは何か』を読む(1)
ブログの本格運用に際して,おそらく私にとっていま最も大事な問いから始めたいと思います。 いろいろなきっかけが重なり,私は大学出版部というところで仕事をしています。大学は大学出版部にとってクライアントであると同時に,プロデュースすべき文化資源でもあります。ビジネスに際しては相手をよく知る必要があるわけです。年がら年中考えているわけでもありませんが,ふとした時に「大学とは何か」と疑問が湧きます。
ところが実際は,大学のほうが,学生の頃も含めて出版業界よりも長く接しているはずなのに,実体を未だつかめずにいます。ただ書店の棚を眺めても「大学とは何か」をめぐる本が増えているのを見ると,そのぶん世の中の注目を集めているのかなと思います。それは理由なしに人々の注目を集めるわけではなく,産業システムにとっての役割が無視できない大きさに達しているからではないでしょうか。 (さらに…)