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月別アーカイブ: 5月 2013

吉見俊哉『大学とは何か』を読む(2)

前回のポストから日が空いてしまいましたが、再び大学の話しに戻ります。

5月5日の記事では変容する大学に触れましたが、今の大学に期待されている役割は大きく三つあると思います。第一に学術研究、第二に教育、第三に社会への発信と還元です。前回の記事では大学と学術研究の関わりを取り上げました。今回は主に、第二の教育に焦点を当て、関連する記事も参照しつつ吉見氏の議論を読みといてみたいと思います。 (さらに…)

背景のマチエール: 定家亜由子さん個展から

今年はなかなか暖かくならない「長い冬」ですが,先週末はようやく春らしい快晴でした。素晴らしい舞台のあと,美術にお詳しい同僚から紹介いただいた個展へ立ち寄り。その感想というか,作家さんとの談話で印象に残った一言を――

「定家亜由子 日本画展」(2013年5月・京都大丸)リーフレット。開くため右手の指で押さえております

「定家亜由子 日本画展」(2013年5月・京都大丸)リーフレット。開くため右手の指で押さえております


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吉見俊哉『大学とは何か』を読む(1)

ブログの本格運用に際して,おそらく私にとっていま最も大事な問いから始めたいと思います。 いろいろなきっかけが重なり,私は大学出版部というところで仕事をしています。大学は大学出版部にとってクライアントであると同時に,プロデュースすべき文化資源でもあります。ビジネスに際しては相手をよく知る必要があるわけです。年がら年中考えているわけでもありませんが,ふとした時に「大学とは何か」と疑問が湧きます。

ところが実際は,大学のほうが,学生の頃も含めて出版業界よりも長く接しているはずなのに,実体を未だつかめずにいます。ただ書店の棚を眺めても「大学とは何か」をめぐる本が増えているのを見ると,そのぶん世の中の注目を集めているのかなと思います。それは理由なしに人々の注目を集めるわけではなく,産業システムにとっての役割が無視できない大きさに達しているからではないでしょうか。 (さらに…)