学術を活かして働くために――世界のプラクシス・ネットワーク
人文社会系ポスドクの就職難を取り上げた記事は枚挙にいとまがない。最近公刊された記事では図書館の立場から「若手研究者問題」が様々な研究の水準にまで影響を及ぼす可能性が指摘され,研究環境の整備として図書館の機能を高めることが提言された。
最近,世界的な大学の現場でもこれを問題視し,ギリシア語の「プラクシス(praxis)」に擬えたコンソーシアムが複数出現している。特に大陸ヨーロッパ主導のPraxis networkと英米圏主導のThe Praxis Network (こちらは団体名に定冠詞がついている)。
但し外形的な情報からは具体的な像が見えてこない。ミッションをみても「学問分野の配置をふくむ諸要因によって多様です」(missionより)。各専門分野で卓越した学者として育てるのみならず,学問外のビジネス界でも人文系の役割・業種において力を発揮できることを目指しているようである。これ自体がイニシアティブを発揮するというよりは,緩やかな連合を通じて,外部から資金援助を募る際の交渉力や情報交換を主眼にした動きなのかもしれない。