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藤原義章『リズム』を読む

「美しい演奏をデザインする」と副題の付けられた本書は、著者・藤原さんが多くの著書で試みてきた視座の集大成的な作品といえるでしょう。

まず文字通り、楽譜から読み取れる様々なリズム―拍と拍子、音律―から、楽曲構成としてのリズムにまで視野を広げています。また「音楽がもたらす感動とはどのようにできているか」を解き明かす観点から、ふつうは避けられるエロティシズムにも躊躇なく踏み込み、音楽がもたらす広い沃野を描き出しています。

終章にさり気なく触れられた「わけたがる文化」への批判は、日本の諸分野における専門教育の落とし穴にそのまま当てはまるものかもしれません。(対照的に挙げられたアメリカ合衆国の教育システムもまた、学費負担の大きさ・教育格差など、無前提に礼賛できるわけではありませんが。)

巻末に付された参考文献も、本書の幅広いテーマを深めるうえで有用です。なお生体リズムに関しては、柳澤桂子『リズムの生物学』という本も出ており、いわゆる体内時計の研究もこの分野の第一人者である上田泰己さんなどが進めています。とてもこの小文で全貌を追えるものではありませんが、引き続きこのテーマに関心を寄せたいと思います。

読書の道標として、甥であるオペラ歌手・古澤利人さんのブログ。

付記 著者の藤原さんは2022年3月11日に逝去されました。藤原さんと同じ山梨で活動されてきた、声楽家川口聖加さんがその読後感を記されていますので、ご紹介いたします。


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