5月26日『日経新聞』日曜版の文化欄「接客今昔」がおもしろかったので、ご紹介を。
先だって、午前中、あるシネマ・コンプレックスにいった。そのビルの一階にあるコーヒーショップでコーヒーを買ったのだが〔中略〕できあがったコーヒーを受け取る私に、「よい休日になりますように!」と、作り物ではない笑顔で見送ってくれる若き男の子。そ、そりゃどうも…と、もごもごと言って店を出た。異国を旅している際にファストフード店で「Have a good day!」と言われても驚かないが、東京で言われると戸惑う。慣れていないから。
飲食店や洋服店の接客にトレンドをみる角田さんは、見下し接客からていねい接客、そして「友だち接客」への変遷を指摘します。結局は「友だち接客」を好意的に評価して記事を結ぶものの、不慣れな挙動はどこか可愛らしくもあります(笑)。
敬語や日本語の使い方が奇妙だという声が聞こえてきたのはこのころからだと記憶しているが、でもその奇妙さは、よりていねいであろうとする姿勢のあらわれなのではなかろうか。ここへきて、バブル期の遺産のようであった人を見下す接客は、一掃されたような印象を私は持っている。
実は私もスターバックスの「友だち接客」が苦手です。嫌いではないのですが、人見知りな性格も手伝い、親しげな雰囲気にくすぐったさを感じます。文化論っぽく踏み込んで考えると、ジャパニーズな日常に、アメリカンな慣習(文化コンテクスト)が急に入りこんでくると、いまだにどぎまぎ戸惑っているのかもしれません。
角田さんは『対岸の彼女』で直木賞を受賞した人気作家、その素顔は肉好き・朝のランが日課・ボクシング歴約10年という,ほんわかした風貌とは真逆の「体育会系」。ほどよく力みの抜けたところ、合間の箸休めとして書かれたかにみえる記事ですが、じつに鋭い観察眼が現れています。
PS 接客にまつわる傑作といえば、こちら。さながらバブル世代の「巻き添え接客」か…
[…] この本を手にとったのは、ある友人の奨めがきっかけです。忘れもしない半年前、冬晴れの朝、友だち接客全開の某シアトル系カフェで話し込み、そのまま牛タン屋に足を運んでご飯をいただきつつ、懇々と説かれたのを覚えています。 […]
その後,キーワード検索で見つかった以下の記事を紹介させていただきます。
台湾版「接客今昔」といったところ。「日台接客考」
http://taipeidiary15years.blogspot.jp/2013/05/blog-post_31.html
[…] この本を手にとったのは、ある友人の奨めがきっかけです。忘れもしない半年前、冬晴れの朝、友だち接客全開の某シアトル系カフェで話し込み、そのまま牛タン屋に足を運んでご飯をいただきつつ、懇々と説かれたのを覚えています。 […]