曇りがちな秋の週末,《ロマン探求》の題に惹かれて公演に伺いました。

伊藤さんと渡邉さんのお二人は、各々がソロで活動しつつ、オンラインラジオ番組《ロマン探求》を企画運営。音楽のほか文学・絵画などの多角的な視点から、ロマンティシズムの本質を配信しています。
大阪でのデュオ公演を一週間前に終えたばかりの公開講座となった本日。遠征を終えてくつろいだ雰囲気に溢れたなか、たくさんの絵画や詩を引用しながら「ロマン(主義)とは何か」を、身近な実感を例に紐解いていきました。
《ここは素晴らしい場所》《ヴォカリーズ》など、伊藤さんがライフワークとするラフマニノフの歌曲から幾つかも披露されました。高音から降りる滑らかなポルタメント、また渡邉さんの無駄を排した姿勢から繰り出される多彩な音の引き出しは、内に秘めつつも決して他に与しない確信と凄みを垣間見せました。
お二人が会員として(チェリスト伊藤さんは名誉会員として)籍を置くピアノ芸術研究会(主宰:雁部一浩)での研究の一端も伺わせた2時間。今後もその探求の道を追体験させていただけたら嬉しく思いました。